プランニング~流れを掴むということ~
2021年9月。ハースストーンバトルグラウンドの流行に伴ってハースストーンに「ブログでの戦術解説」文化がわずかに戻ってきたことを喜ばしく思う。
近頃は配信サイトでトッププレイヤーたちと気軽にリアルタイムで交流できるし、フレンド通話をしてくれる環境もあるし、プレイスキルを磨く方法はいくらでもある。
そんななかでリアルタイムでもないし、明日にはナーフされるハンドロックの解説をしたところでどれほどの需要があるかわからない。それでも僕自身とある人のブログを読んで初めてレジェンド・ランクに到達できた経緯がある。何を考えたらいいのかわからないまま闇雲にラダーをしていた僕がランク1とレジェンド・ランクの間の壁を越えられたのはデッキガイドブログのお陰だ。
日本にハースのプレイヤーが何人いるのか知らないが、1万人くらいこの記事を読んでくれれば一人くらい何かに気づいてくれるかもしれないと思って、僕がレジェンドに到達するまでに試したことを書き記す。
明日にはハンドロックは何枚か重要なカードがナーフされてしまうので、今回は戦術の理解、その解説というよりは僕が試行錯誤していった過程を記事にしようと思う。
心配しなくてもそんなボリュームはない。
・デッキリスト画像
・大まかな戦術解説
・各マッチアップについてちょっとした気づき
・その他言いたいことを書く
これくらいの感じでいく。
・デッキ……ハンドロック
beerbrickで拾ったもの。
「アネザロン」「ゴールドシャイアのノール」「スパイスブレッド職人」といった手札の枚数を参照する系統のカードが抜けてしまい、もはや「ハンド」要素が見当たらないがハンドロックと呼ばれている。体力が変動する効果を持つ除去でボードをとりつつ「肉の巨人」を着地させると相手が対処できずにコンシする。
現状「大物ハンター」や「密言・死」のような確定除去を使ってくる相手が少なく、8/8というサイズは処理されにくいことがハンドロックを環境上位へ押し上げている要因だと思われる。
ざっくりした戦術解説
ハンドロックの基本戦術はカウンターであると考えている。
①ヒロパや回復つき除去、クエストの報酬で肉の巨人カウントを稼ぐ。
②ツアーガイドやマナ喰らいのパンサーラでドローを回し、残りデッキ枚数10枚以下を目指す。シャドウプリーストなんかはミニオンを多数展開してくるため「魂裂破」でこれを狙いやすい。
③軽いコストで大型ミニオンを召喚する用意が整ったら相手のボードを「魂裂破」で薙ぎ払い、空のボードへ6/6挑発や8/8を投入してやる。それでも相手がついてくるなら
④クエスト「悪魔の種」を完遂し、「タムシン・ローム」を使用する。残り少ないデッキをドローし尽くして、疲労ダメージを相手に押し付ける。「バックファイア」などが余っているならドローではなくトドメの一撃として使えるかどうか検討する。
このデッキの面白さは、
自分のライフ、残りリソース、クエストの進行度合い、くず拾いや巨人のコストが軽減されるタイミングなど様々な要素を見比べながら、自分がどのようなプランで勝ちに行くかわかりやすく考えることができる点にあると感じた。
盤面や手札の状況によって狙い目が変わる。その潮目は自分で判断しなければならない。とにかく押せ押せのアグロばかり使ってきた僕としては、「ああ、これがプランを立てる」ということなのか! と自分のプランニングが上手くいった(と感じた)対戦の後このハースストーンというゲームの奥深さをかみしめた。いいデッキだ。もうナーフされるのだが。もう1時間もしないうちに。
そういうわけで後には箇条書き的に、レジェンドに到達するまでに自分で思いついたことを列挙する。ストームウィンドのウエストハンドロックというデッキはナーフされてしまうけれども、
「デッキのプランを理解し、それに伴うカードの使い方を考えてみた」ということの価値は変わらないと思う。
今後環境が変わっても似たような場面に遭遇したとき
「あの時はこういう風に考えたよな」と思い出すことで考える時間を短縮できる。これを繰り返した先にトッププレイヤーたちの知恵がある。
「教えてくださーい」といえば彼らは親切だから惜しげもなく教えてくれるだろうが、それだけでは「そこまで自力でたどり着く思考の筋力」がつかないのではないか、と思うのだ。訊けばすぐわかること、という意味ではこの記事はムダだろうし、まったく見当違いなことを書いているかもしれないが、自分で思いついたことに意味がある。と信じたい。
・vsドルイドで、星界かアグロか迷ったらアグロ想定でマリガンする
アグロが出してくる番所で詰む恐れがあるので、2マナ3点や2マナ6点をキープしてみた。「レイザーメインの戦闘衛兵」など優先的に倒さないと取り返しがつかなくなるミニオンが多い。星界配列ドルイドなら最悪、配列を使われる前に巨人を引き当てればゲームになることもあるし「ミスリルロッド」のカウントを残り1でとめておけば配列→ターンもらってドロー、ロッド発動で手札のカードすべてコスト0とかもある。
ただしバックファイアとミスリルロッドが揃っているとかなら返してまで2番所を対処する除去を探しに行ったりはしていない。
・メイジ相手に2ターン目教団の新入会員は出さない
詠唱者の循環が1ターン遅れるかもしれないが、凍結や火炎の呪文の的を与えてしまいアシストパスになっている場面が目立った。出せるなら巨人やクズ拾いと一緒に、生物の生存確率を上げるために出す。回転率が重要と考え、キープもしない。ミスリルロッドでブンブン回すことを優先したほうがいいと思っている。どうせ勝ち目は薄いのだから勝てるとしたらマリガンをしてる。
・プリースト相手には軽い除去キープかどうか怪しい気がしてきた。
くねくね怪異で結構処理できないラインまで逃げられたり、死者蘇生一枚で簡単にリカバリーしてくる。ヒーローパワーも使うスキがなくなり結局ジリ貧。魂裂破一点狙いでマリガンか?最近は番所が入っている影プリーストもいるので一枚は単除去キープで、ミスリルロッドも返してAOEとりにいかないと一気にライフを詰められてる気がする。ロッド持ってる余裕ない。バックファイアもあるなら細かい除去連打できるのでさすがにセットキープか?
・デーモンハンター
ミスリルロッドを装備したいが、クサリヘビを持っていることが多く3ターン目ミスリルロッド、次のターンにバックファイアという動きが3/3/4に妨害され大きなテンポロスになる恐れがある。
俊足の秘印を使われた状態でミスリルロッドを装備して、「クサリヘビで折るならいいけど、その1ドローでクエストを進めることが難しくなるよ」という2択を迫ってみたが、普通に無視してクサリヘビを交換してクエスト進められた。
・全般的に…
死者蘇生で巨人を回収することはあまり狙わない。
狙えるならやるが、わざわざやるよりはツアーガイドやパンサーラでドローを回してデッキを減らしてデッキ10枚以下を目指すことも考えないと、例えばミラーマッチでクズ拾いを出された時、「血の欠片のブリストルバック」が機能していないと苦しくなる場面が多い気がする。
これらのドロー補助は最終盤になってデッキを引き尽くして疲労ダメージを重ねる役割もあるので「ちくしょう、ハズレだ!」と思わなくてもいいんじゃないかと思う。相手ばっかり巨人やくず拾いを引いてるならちょっと不公平感じるけどね。
・バトルマスターについて
これは自由枠だと思う。シャーマン、ハンドロックをターゲットにしているのかちょいちょいメイジに当たるようになって、「ワンチャン奇襲決まらないか」と思ってこれにしたが実際には巨人が一生凍結していて疾風は活きなかった。
そのかわりハンターやプリーストに対して何回か疾風リーサルを決めたのでまあ許す。許すが、それをするなら3マナ3/1のレジェンド「タムシン・ローム」を入れたほうがこれらに対して安定しそう。単除去はあればキープするけど実際手数が足りなくなる印象があり、0マナのコピーを作る効果は明らかに相手に圧力をかけていた。処理を強いる意味でもライフを守っていると思う。
もともとはタムシンを使っていたが、メイジに負けて「やっぱりプリーストに的を絞って勝ち星稼ぐ作戦に戻そうかなー」と思っていたらそこから何回か疾風リーサル決めるのでそのままレジェンドになってしまった。
ここまでがダイヤ5からレジェンドになるまで、自分が考えたこと。
今まで「うわーーーーっ」と出せるカード出して処理できるボード処理して余剰火力を顔に撃ちこんでた自分としては「んー、どうしようか」と落ち着いてプレイできるようになったのは小さくも大事なレベルアップだった。またなにか思いついたこと、気づいたことがあれば記事にしていきたい。